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【相続】用語のポイントを解説!【司法書士試験】

司法書士試験において相続の知識は非常に重要です。本記事では、相続に関する基本概念、関連用語、具体例、関連条文について詳しく解説します。わかりやすく説明していきますので、試験対策にぜひ役立ててください。

相続の基本概念

相続とは

相続とは、被相続人(亡くなった人)の財産や権利義務を相続人が承継することを指します。相続人は被相続人の遺産を受け継ぐだけでなく、その債務(借金など)も引き継ぎます。

関連条文

民法第896条(相続の一般的効力)

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

相続の開始時期

相続は、被相続人が死亡した瞬間に開始します。死亡の時点で被相続人の財産は相続人に移転しますが、実際の遺産分割や相続登記などの手続きは後日行われます。

関連条文

民法第882条(相続の開始)

「相続は、死亡によって開始する。」

相続の関連用語

遺産

遺産とは、被相続人が死亡時に有していた財産の総称です。遺産には、不動産、動産(現金、株式など)、債権、債務(借金)などが含まれます。遺産は、相続人によって分割されます。

具体例

被相続人が自宅の不動産と預貯金を有していた場合、これらが遺産となります。また、被相続人に借金があった場合、その借金も遺産の一部として相続人に承継されます。

遺言

遺言は、被相続人が自身の財産の処分や相続に関する意思を表明した文書です。遺言がある場合、基本的にはその内容に従って相続が行われます。遺言には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言などがあります。

具体例

被相続人が「長男に自宅を、次男に預貯金を相続させる」と遺言で記していた場合、その遺言に従って相続が行われます。

関連条文

民法第964条(包括遺贈及び特定遺贈)

遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。

民法第968条(自筆証書遺言)

  1. 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
  2. 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全文又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
  3. 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

民法第970条(秘密証書遺言)

  1. 秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
    1. 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
    2. 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
    3. 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
    4. 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
  2. 第968条第3項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

法定相続分

法定相続分とは、遺言がない場合に法律で定められた相続人の相続割合です。配偶者と子供が相続人の場合、配偶者が1/2、子供が1/2を分け合います。配偶者と親の場合は、配偶者が2/3、親が1/3を分け合います。

具体例

被相続人に配偶者と2人の子供がいる場合、配偶者が1/2、子供2人がそれぞれ1/4ずつ相続することになります。

関連条文

民法第900条(法定相続分)

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

  1. 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
  2. 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。
  3. 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。
  4. 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。

遺留分

遺留分とは、一定の相続人に対して必ず保障される相続分のことです。被相続人が遺言で全財産を特定の相続人に与えるとした場合でも、他の相続人には遺留分を請求する権利があります。遺留分は、配偶者、子供、直系尊属(親など)に認められます。

具体例

被相続人が「全財産を長男に与える」と遺言していた場合でも、次男には遺留分として相続財産の一定割合を請求する権利があります。

関連条文

民法第1042条(遺留分の帰属及びその割合)

  1. 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第1項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
    1.  直系尊属のみが相続人である場合 3分の1
    2.  前号に掲げる場合以外の場合 2分の1
  2. 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第900条及び第901条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

相続の手続き

相続放棄

相続放棄とは、相続人が相続を放棄する手続きです。相続放棄をすることで、相続人は被相続人の財産や債務を承継しないことになります。相続放棄は、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申立てを行う必要があります。

具体例

被相続人に多額の借金があった場合、相続人が相続放棄をすることで、その借金を承継しないことができます。

関連条文

民法第915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)

  1. 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
  2. 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

限定承認

限定承認とは、相続人が相続する財産の範囲内で被相続人の債務を負担する手続きです。これにより、相続財産の範囲を超える債務を負担することを避けることができます。限定承認も相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申立てを行う必要があります。

具体例

被相続人の財産と債務の額が不明確な場合、相続人が限定承認をすることで、相続財産の範囲内でのみ債務を負担することができます。

相続登記

相続登記とは、相続によって取得した不動産の所有権を登記簿に記録する手続きです。相続登記をすることで、不動産の所有権が相続人に移転したことが公的に証明されます。

具体例

被相続人の自宅を相続した場合、相続人がその不動産の相続登記を行うことで、自宅の所有者として登記簿に記録されます。

具体例を用いた相続の流れ

事例紹介

被相続人Aが亡くなり、配偶者Bと2人の子供C、Dが相続人であるケースを考えます。Aは遺言を残しておらず、相続財産として自宅、不動産、預貯金、および借金があります。

遺産の分割

法定相続分に従い、配偶者Bが1/2、子供C、Dがそれぞれ1/4ずつ相続することになります。具体的には、自宅の所有権はBが取得し、不動産と預貯金はC、Dが分け合うことになります。また、借金も同様に法定相続分に従って承継されます。

相続放棄と限定承認

もし借金が多額である場合、CとDは相続放棄を選択することができます。この場合、Bが全ての財産と債務を相続することになります。また、CとDが相続放棄をしない場合

でも、限定承認を選択することで、相続財産の範囲内でのみ債務を負担することができます。

相続登記

最終的に、不動産の所有権を取得した相続人は相続登記を行い、その不動産の所有者として登記簿に記録されます。

まとめ

相続に関する知識は司法書士試験において非常に重要です。基本概念や関連用語を正確に理解し、具体例を通じて実際の適用方法を把握することが求められます。法定相続分、遺留分、相続放棄、限定承認、相続登記などの手続きをしっかりと学び、過去問を解くことで試験対策を進めましょう。相続に関する理解を深めることで、司法書士試験の合格に一歩近づくことができます。

  • この記事を書いた人

ファブ

こんにちは、ファブです。
司法書士試験合格を目指す方の為のサイトを運営しています。

本業ではIT関連の一人会社を設立し8年目。
私生活では一人息子のお父さん。

仕事では、起業や役員管理における登記。
私生活では住宅売買、成年後見人、遺言諸々。
その他少額訴訟などあらゆる場面で司法書士が活躍します。

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