「NVIDIAの株価がすごいらしい…」 「次のAI関連の成長株に投資すべきじゃないか?」 「私のインデックス投資、このままでAIの波に乗り遅れないだろうか?」
2025年現在、市場の話題はAI一色。連日報道される関連ニュースに触れるたび、私たちの心は揺らぎます。「長期・分散・積立」という基本戦略が正しいと信じていても、「この歴史的なビッグウェーブに乗るべきでは?」という誘惑に駆られることもあるでしょう。
しかし、こんな時代だからこそ、データサイエンティスト、ニック・マジュリ氏の著書『JUST KEEP BUYING』の哲学が、羅針盤として圧倒的な輝きを放ちます。
今回は、AIの熱狂が渦巻く今、私たちインデックス投資家が本書から学ぶべき**「AI時代を乗りこなすための投資戦略」**を解説します。
目次
1. AIが生み出す「市場のノイズ」と戦う唯一の武器
現在の株式市場は、AIというテーマによって大きく動かされています。どの企業が次の勝者になるか、専門家たちが日々議論し、株価は激しく上下します。これはまさに、投資家を誘惑する巨大な「ノイズ」です。
このノイズに誘われて「次のNVIDIAを探す」という行動は、本質的には**「市場のタイミングを計る」というギャンブル**に他なりません。『JUST KEEP BUYING』がデータで示す通り、これはほとんどの個人投資家にとって、長期的にはリターンを悪化させる行為です。
では、どうすればいいのか?答えはシンプルです。S&P500や全世界株式(オルカン)といったインデックスファンドを買い続けることです。
なぜなら、これらのインデックスには、すでにGoogle、Microsoft、NVIDIAといった巨大AI企業が組み入れられているからです。私たちはインデックス投資をすることで、AIの成長という果実をすでに享受しつつ、特定の企業に賭けるリスクを分散できているのです。AIブームの「良いところ」だけを、リスクを抑えながら享受できる。これこそがインデックス投資の最大の強みです。
2. AIのように「感情を排した」データ主導の投資法
ニック・マジュリ氏の投資アプローチは、まるでAIそのものです。彼は膨大な過去のデータから、人間の「恐怖」や「欲望」といった感情を完全に排除し、数学的に最も合理的な答えを導き出します。
本書が示す結論は、非常にAI的です。
- 暴落は「買い場」である:データ上、暴落時に買い増しを続ける戦略がリターンを最大化する。
- ドルコスト平均法は有効である:感情に左右されず、機械的に買い続けることが最適解。
- 市場のタイミングは計らない:未来の予測は不可能という前提に立つ。
AIがチェスや囲碁で人間の最強プレイヤーを打ち負かしたように、投資の世界でも、感情的な人間よりも「データに基づいたシンプルなルールを、冷徹に実行し続ける」アプローチが優れています。私たちが毎月行っている積立投資は、まさにこの「AI的アプローチ」を実践していると言えるでしょう。
3. AIブームに「乗る」な、AIを「使って」入金力を高めよ
これが最も重要なメッセージかもしれません。 AIブームから私たちが得るべき最大の利益は、キャピタルゲインではなく、「自分自身の生産性向上」です。
- やってはいけないこと:AI関連の個別株に手を出し、日々の株価に一喜一憂すること。
- やるべきこと:ChatGPTなどのAIツールを仕事で使いこなし、生産性を上げ、キャリアアップや収入増に繋げること。
本書が説くように、資産形成の初期段階では、投資リターンよりも**「入金力」**が全てです。AIブームに投資家として乗ろうとするのではなく、ビジネスパーソンとしてAIを使いこなし、上がった収入をインデックスファンドへの積立額に上乗せする。これこそが、AI時代における最も賢明で、再現性の高い資産形成術です。
まとめ:AIの熱狂の中でも、やることは変わらない
AIの登場により、世界は大きく変わろうとしています。しかし、私たちインデックス投資家がやるべきことは、驚くほど何も変わりません。
AIが生み出す全体の成長は、インデックスファンドが自動的に取り込んでくれます。私たちは、AIによって生まれる熱狂やノイズは横目に、AIを自らの武器として使いこなし、稼いだお金で、ただ淡々とインデックスファンドを買い続ける。
『JUST KEEP BUYING』が示すこの普遍的な真理は、AIという未曾有の変革期において、私たちの資産形成の道を照らす、最も信頼できる灯台となるはずです。